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薬剤科「簡易懸濁法について」
2018.08.10
今回はお薬を胃瘻や経鼻経管から入れる方法である簡易懸濁法(かんいけんだくほう)についてご紹介します。
従来は散剤や錠剤の粉砕したものを水やお湯に溶いてチューブから入れる方法が行われてきました。ですが、この方法はチューブが詰まったり、錠剤やカプセル剤を粉砕する時にご家族やスタッフが吸い込んでしまったり、安定性が悪くなったりと色々な問題点がありました。そこで錠剤やカプセルを粉砕せずにそのままシリンジに入れ、約55℃の温湯で溶かし経管投与する簡易懸濁法が考案されました。
少し古いデータですが、2013年の日本病院薬剤師会の調査では全国526病院の78%が導入していたという報告があります。
錠剤やカプセルをそのままシリンジに入れることで色々なメリットがあります
- 製造時に保証された剤形を服用直前まで保持できる
- 光や湿度等による影響を受けず粉砕時のロスもない
- 粉砕・混合しないため配合変化の危険性が減少する
- 錠剤・カプセルのままなので服用時に再確認ができ、中止・変更時の対応が容易 例:お通じの状態に合わせた下剤の調節
- 細いチューブを使用することもできる
注意が必要な薬・簡易懸濁法が適していない薬もあります
- そのままでは温湯に崩壊しないためコーティングを破壊する必要がある
- 吸湿性があるため、その都度コーティングを破壊する必要がある
- 崩壊時間が長いと問題が生じるため、服用直前に崩壊させる必要がある
- 簡易懸濁法が適さないため他の薬への変更が必要
当院でも院内処方薬・持参薬共に、適合する薬剤については簡易懸濁法を用いてお薬を服用していただいています。崩壊させた後の安定性やシリンジ内での配合変化のデータについてはまだまだ不足している部分もあるため、集積が必要となっています。
最近は新薬開発時に簡易懸濁法についても試験している製薬会社も増えてきました。確実なデータのもとで簡易懸濁法が実施できるよう、薬剤科でも情報の収集を継続して行っていきます。
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