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鶴巻温泉病院 〒257-0001 神奈川県秦野市鶴巻北1-16-1 TEL 0463(78)1311

身体の話シリーズ

運動したり、病気になったりすると身体の色々なところに不具合が生じます。そんな時に知っておいて良かったと思える話を連載していきます。理事長 鈴木龍太の知って得する身体の話

第16回 プレッシャーの呪縛 副交感神経を活性化するには

テニス

 私のテニススクールのことを少しお話します。Yコーチは時々皆にプレッシャーをかけます。自分がミスをしたら後ろの人が罰ゲームをして1回飛ばしになります。面白いプレッシャーの懸け方ですが、丁寧に打つようになり、少し上達します。
 クラスメートのT君は見かけよりずっと若いのですがマッチポイントになると必ずサーブでダブルフォールトをします。F君は絶好の球が来てスマッシュをすると殆どネットになります。プレッシャーが掛かったときに起こる現象は人それぞれ決まっているようです。

 プレッシャーは交感神経が活性化し闘争モードになった状態です。ちょうど良いプレッシャーは筋肉を動かし、視野を広げ、集中力がでて普段よりパワーがでます。でもプレッシャーが更に強くなるといわゆる「あがる」という状態になります。手が震え、汗をかいて、心臓がバクバクして、口を開けて呼吸をするようになり、筋肉が固まってしまい、夜は眠れなくなるし、トイレにしょっちゅう行きたくなります。皆さんもそういう経験があると思います。

プレッシャー

 交感神経が刺激されると脈が早くなります。通常100-120くらいの脈拍になりますが、プレッシャーが強いとカテコラミンが多すぎて、心拍数が130-140となり、呼吸数も増えます。そうすると浅い呼吸の口呼吸となり酸素摂取が足りなくなり、心臓バクバク、口パクパクの状態になります。脳の酸素摂取も減りますから、頭が真っ白になり、筋肉も酸欠でうまく動きません。トイレが近くなるのは尿が溜まるからではありません。これは脳が緊張や不安を何らかの行動で紛らわすために出している指令です。ですからトイレに行っても尿はちょっとしか出ません。

 ではプレッシャーの呪縛から開放されるためにはどうしたらいいのでしょうか。テニス選手に聞くと試合の時はガットをはじいて直したり、テニスボールの臭いをかいだりすることで気を紛らわらせるそうです。

 でももう少し科学的な方法もあります。それは交感神経と反対の作用を持っている副交感神経を活性化させることです。38度から40度のちょっとぬるいお湯は副交感神経を活発にします。ですから38度くらいのお絞りをまぶたの上や首筋に当てると副交感神経を活発にして、心臓の鼓動を遅くすることができます。鼻呼吸で深呼吸をしたり、目を軽く押す、首の付け根をこすることでも副交感神経が活発化します。

 でもプレッシャーに強くなるために最も重要なことはたくさんの練習、たくさんの経験です。手順を追ってシミュレーションすることも役に立ちます。予定外のことが起こったときのこともだいたい頭に入れておきます。その演習をたくさんやればやるほどいざというときにあわてません。「技術に対する自信が余裕を生む」とイチロー氏が言っています。


知って得する身体の話 INDEX

時々知らなくても良いことや、知らないほうが良かった話もあるかもしれません。気軽に読んでください。

一般にはあまり知られていないことや、少し知っておくと役に立つことなども取り上げていますので、参考としていただければ幸いです。気になる症状がある方は、かかりつけ医にご相談いただき、専門の医療機関を受診することをお勧めします。

執筆 医療法人社団三喜会 理事長 鈴木 龍太

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著書紹介

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ある調査では、高齢者の80%以上が死ぬときはピンピンコロリと死にたいと思っているそうです。でもそうはいきません。年齢とともにどこか具合が悪くなってきます。いつかトイレに行けなくなり、誰かに下の世話をお願いすることになります。「初めてオムツを使って、人に下の世話をしてもらうこと」を想像してみてください。相当な覚悟が必要です。

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日本会介護医療院協会長
医療法人社団 三喜会 理事長
鶴巻温泉病院 名誉院長
横浜新緑総合病院 院長
鈴木 龍太
イラスト 星 あかね

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